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霧が晴れたら早歩き

昔テレビっ子の40代が、自分の好きだった物を再認識するブログ

「わが愛しのホームズ」ホームズパスティーシュの傑作、22年ぶりに復刊!

ミステリ

「ワトソン、君はぼくが何もわかっていないと思っていたのかい?」

 

シャーロック・ホームズの物語はコナン・ドイル以外の作家が書いた多種多様のパスティーシュがあります。まるでドイルが書いたかのような本物っぽい作品もあれば、全く違う設定のホームズもどき等。

またホームズを研究する人達(シャーロッキアン)の論説には実はワトソンは女ではないか? とか逆にホームズが女であったなどと、二人の関係に疑問を投げかける奇想天外な説もあります。

 

わが愛しのホームズ (モノクローム・ロマンス文庫)

わが愛しのホームズ (モノクローム・ロマンス文庫)

 

 

そしてこの作品は、同性でありながら実はお互いに友情以上の想いを秘めていたことをワトソンが記した物語で、その内容のため100年間封印されていたという設定。

 

ホームズの時代は同性愛に非常に厳しい刑罰が課せられており、ワトソンがホームズへの想いをひた隠しにする心の葛藤が描かれていますが、いかがわしい描写は一切ありません。

 

本書には2編収められていて、ひとつめの「極秘調査」はホームズ譚の「四つの署名」の一ヶ月前、女性の失踪事件の依頼から恐喝事件へと展開していきます。

依頼者の女性も失踪した同居女性と秘めた関係であり、ワトソンと同類相哀れむというか、ワトソンにアドバイスしたりして、その後「四つの署名」のヒロインとワトソンが結婚した経緯がわかります。

 

次の「最後の事件」は、ホームズがあのライヘンバッハの滝で転落死した(とされていた)事件の真相が書かれています。とにかくワトソンが健気で可哀想になってきます。ホームズの兄のマイクロフトのことが嫌いになること間違いなし。ホームズとの再会は原作とは全く違います。

 

この本は1993年にハードカバーで刊行されていた作品の文庫化で、当時一度読んでいるのですが同性同士の関係という設定に免疫がなかったからか、あまり楽しめず手放していました。

時代は進み寛容になったことで改めて読んでみたら、むしろ物足りないくらい健全でした。

ホームズとワトソンの深い絆に感動する作品です。