霧が晴れたら早歩き

昔テレビっ子のアラフィフが、自分の好きだった物を再認識するブログ

島田荘司のホームズパスティーシュ『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』に抱腹絶倒

先日ドラマ化された御手洗潔シリーズの作者 島田荘司氏はホームズ物語の冒頭部分だけで、どのエピソードか判別できるほどの筋金入りのシャーロッキアンだそうです。

そんな島田氏の長編7作目がこの『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』で、夏目漱石が英国留学していた時期とホームズの活躍時期が同じで、漱石の下宿先もホームズのいたロンドンのベイカー街に近かったことから二人の夢の共演ストーリーとなっています。

 

勇躍英国へ留学した夏目漱石は下宿先で夜ごと、亡霊に悩まされ、シャーロック・ホームズに相談に行った。折しもそこに金持ち未亡人が訪れて言うには、永らく生き別れた弟と再会したのだが、彼は中国で恐ろしい呪いをかけられ一夜にしてミイラになってしまった、と。居合わせた漱石もこの難事件解決に一役買うことになるのだが……。

 

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)

 

 

この作品の構成が変わっていて、漱石目線の章とワトソン目線の章が交互に展開します。

ところが同じ出来事を見聞きしているはずの漱石とワトソンの話がまったく別の出来事のように食い違っていて、そのギャップが非常におもしろい。

漱石から見たホームズがかなりヤバい人になっていて、名探偵のイメージがガラガラと音を立てて崩れ落ちること間違いなし(笑)。

漱石がホームズへの不信感から過剰にこき下ろしているのか、それともワトソンがホームズを美化しているのか、これまで読んできた名探偵の活躍は虚像だったのではないかと疑いたくなります。

 

しかしご安心を。ちゃんと謎解きをして事件解決します。やっぱりホームズはカッコいいのです。

ラストは感動さえします。ふざけたパロディ作品ではなく、作者のホームズ愛がひしひしと伝わる傑作なのです。

 

ちなみに私の持っている87年刊の集英社文庫の著者近影が、私の抱いていた御手洗潔のイメージでした。

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